2016
08.09

インキュベーターってなに?どんなものがあるの?

胚培養士が使う仕事道具

体外受精や顕微授精によって妊娠、出産に至るまでにはいくつもの、超えなければならないハードルが存在します。質の良い精子と卵子が得られているということや、受精の成立もポイントの一つでしょう。

無事にそれらの通過点を超えたなら、次のポイントは胚の順調な発育です。そこに大きな影響を及ぼすインキュベーターについては、あまり馴染みのない方が多いかもしれません。しかし、胚にとって最適な環境を作り出すためには、なくてはならない存在なのです。

●インキュベーターの役割
そもそも本来は、精子や卵子、胚は体内に存在していますので、光はもちろん届きませんし、低酸素状態におかれています。しかし、体外受精や顕微授精を行う際には、それらを体外に取り出して作業する必要があります。
そのため、少しでも体内と同じような温度や湿度、気体の構成等を一定に保ち、胚へかかるストレスを軽減させるために用いられるのがインキュベーターです。

胚の発育は待ったなしですので、インキュベーター内の環境を24時間に渡って管理し適切に維持することは必須であり、その重要な役割を胚培養士が担っています。

インキュベーター

●多種多様なインキュベーター
胚培養時に使うインキュベーターは現在、数多くの種類が販売されています。

これまでの主流といえば、加湿型のインキュベーターでした。
胚は培養液に満たされた状態で培養されますが、インキュベーター内の湿度が低ければ、そこに存在している培養液が蒸発してしまいます。それに伴い、胚の浸透圧も変化してしまうリスクがあるため、インキュベーター内を水蒸気で満たしていましたが、これにはデメリットもあります。

みなさん、梅雨の時期や、お風呂の換気を怠っているときに経験済みかと思いますが、湿ったままの状態ではカビや菌が繁殖してしまいますよね。インキュベーターであっても、それは同じです。

カビや菌から大切な胚を守るために、こまめな洗浄や定期的なメンテナンスを行うことはもちろんですが、少しでも懸念材料を払拭できればそれに越したことはありません。その意図を汲み取るかのようなタイプのインキュベーターが最近、多くのクリニックで導入され始めてきている、無加湿型のインキュベーターです。

ドライインキュベーターとも呼ばれるこのタイプは、培養液にオイルで蓋をすることで蒸発を防ぎ、なおかつ、無加湿型であるが故にカビや菌の発生を防ぐことができます。

一方、インキュベーターの大きさに目を向けてみると、大型で一度に数多く培養できるタイプのものもあれば、小型であるためドアの開閉による環境の変化から速やかに復帰できるという、ベンチトップ型があります。

様々なタイプがありますが、どの製品が一番優れているのかということは一概には言えません。培養室の環境にもよりますし、何より使い慣れたものでなければ良い結果を出すことはできません。

また、インキュベーターは万能ではありません。器械には誤りもありますので、温度や湿度等の表示を含めて信頼しきるのではなく、定期的に人の目も使ってチェックしていくことも重要なポイントになります。

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