2016
01.23

胚培養士の仕事シリーズ〜体外受精において胚培養士は何を行うのか?受精卵・卵子・精子の凍結保存編

胚培養士の仕事

●卵子(未受精卵)の凍結保存を望む声
これまでは、卵子の凍結保存といえば癌患者や、パートナーをもつ女性が不妊治療の一環として行うものでした。しかし、近年においては卵子の老化が広くメディアで取り上げられ、広く認識されるようになってきました。

それに伴って、ある程度の年齢になった未婚の女性が、将来必要になったときのために事前に保存しておくということも考えるようになってきました。

また、後述しますが、ガラス化法という凍結法の登場により、これまで技術的に難しかった卵子の凍結保存が可能になったことも大きな要因かもしれませんね。

しかし、未婚の女性が凍結保存した卵子の殆どは使われないままであるという実態もあるようなので、このような事例において保存を検討している場合は医師とよく相談してから決断しましょう。

先に卵子凍結の話をしましたが、もちろん得られた受精卵(胚)や精子も凍結保存することができます。特に、現在では、体外受精・顕微授精して得られた胚から、移植できる胚は原則として1個”と限られているので、未使用の胚は次回以降に使えるよう凍結保存しておくケースが多くなってきているのです。

また、最近では、成功率を上げるために、すべての胚をいったん凍結保存しておき、子宮内膜の状態をより着床しやすいように整えたうえで、凍結した胚を融解して移植することも多くなっています。

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こういった、胚、卵子、精子の凍結保存はまさに胚培養士の仕事です。
では、どのように凍結保存していくのでしょうか。

●胚、卵子はどのようにして凍結保存するのか?
胚や卵子に関わる凍結保存方法は2つあり、緩慢凍結法とガラス化法です。

古くから使われてきたのは緩慢凍結法ですが、後に開発されたガラス化法のほうが細胞内に氷の結晶ができにくいため、細胞のダメージは少なく、凍結融解後の復活率は90%をゆうに超えると言われています。現在では、ほとんどの施設で、胚、卵子がこのガラス化法によって、凍結保存されているといっても過言ではないでしょう。

しかし、このガラス化法で凍結保存を成功させるには、培養士の正確なピペッティング操作(細いガラスピペットを使って、胚を移動させたり、洗浄したりすること)が要求されます。高い胚の復活率を維持するには、培養士の熟練度が必要な技術と言えるでしょう。

●精子の凍結保存
一方、精子は洗浄した後に精子専用の凍結保存液と混和させ、液体窒素の蒸気を用いて凍結するのが一般的です。凍結後は液体窒素に入れることで保存することができます。精子の復活率は50%程度といったところでしょうか。

胚、卵子、精子、いずれを凍結保存した場合も、保存費用がかかります。また、パートナーと死別、離婚した場合の取り扱いには法的な問題も絡んできますので、予めクリニックとよく話し合った上で実施に踏み切ることが必要です。

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