2016
01.22

胚培養士の仕事シリーズ〜体外受精において胚培養士は何を行うのか?卵子回収・受精・受精卵培養編

胚培養士の仕事

今回は、採卵時の卵子回収から受精卵を培養する過程まで、胚培養士が担っている役割をご紹介していきます。

このとき、患者さんの氏名はもちろんのこと、生年月日の確認やダブルチェックを行いながら卵子の取り違えのないように進めていくことは基本中の基本です。

どの職種においてもそうですが、胚培養士は単独で動いているのではなく医師や看護師などと共にチームとして治療にあたっています。確認の目を増やすことで、人為的ミスを防いでいるのです。

●卵子回収における胚培養士の役割とは?
受精させるための土台作りとして精子の洗浄同様、重要な工程となるのが卵子の回収です。採卵というのは、卵子のみをピンポイントで採取するのではありません。卵胞液を回収した後に、そこから卵子を探し出すのも胚培養士の役割です。

医師の手によって採取された卵胞液は、すぐに培養室へ運ばれて胚培養士の手に渡ります。そして顕微鏡を用いて卵子の存在を確認した後、卵子を回収することになります。

●どのように卵子と精子を受精させるの?
体外受精(従来法)では、運動能力の高い元気な精子と質の良い成熟した卵子を、体外で出会わせることになります。接触する機会は作りますが、実際に受精が成功するかどうかは自然な状態に委ねられているのが体外受精の特徴です。

そのやり方は、卵子を入れてある程度培養したシャーレに、回収した精子と卵子を一緒にして、あとは精子の自力に期待して自然に受精するのを待つというものです。

そして翌日、卵の細胞質に「前核」と呼ばれる核が2つ存在していれば受精が完了です。その2つの核というのは、それぞれ精子および卵子に由来しています。

時折、この前核が1個であったり、3個であったりすることがあります。この場合は正常に受精していない可能性が高いので、治療対象から外します。そのチェックも培養士の重要な仕事です。

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●受精卵培養
受精できたことが確認できたら、胚培養士が日々、顕微鏡にて発育状態をチェックします。
引き続き体外にて培養を続けていくのですが、順調に発育させるには適した環境を用意する必要があります。体内、特に女性の卵管と同じような条件が必要となるため、湿度や温度を一定に保つことができるインキュベーターと呼ばれる器械の中で育てていきます。

受精卵は、受精が確認できた翌日(採卵した日から2日後)には4分割した胚になっています。そして、さらに4-5日(採卵した日から5-6日後)ほど経つと胚盤胞と呼ばれる状態になります。一般に、インキュベーター内で胚盤胞にまで発育した、いわば、生命力の強い胚を体内へ戻した際の妊娠率・着床率は高くなると言われています。

患者様からの採卵自体は医師の手で行うのですが、そこから卵子を探し出して回収し(検卵)、受精させて育てるという役割は胚培養士が担っています。

特にインキュベーター内は温度や湿度が高く、徹底した管理を行わなければ汚染してしまい、場合によっては胚が死滅してしまう可能性も孕んでいるのです。そのため、培養室はもとより、インキュベーターの清掃も隅々まで行っています。
また、不測の事態によって電源が落ちてしまったり、アクシデントが起こった時にすぐ駆けつけられるよう、胚培養士が近隣に居住地を構えていることも少なくありません。

様々な状況を鑑みながら、胚は守られているのです。

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