2017
02.09

CMポートクリニック 松田培養室室長インタビュー

胚培養士インタビュー

今回は、CMポートクリニックで胚培養士として活躍されている松田さんにお話しを伺いました。

インタビュー時の真面目な話し振りからもその人柄が伝わってきて、もし、自分が患者であっても安心して胚の発育を任せられそうだと思いました。

それでは、インタビューの内容をどうぞ。

真ん中が松田培養室室長です。

●胚培養士になったきっかけについて教えてください。
子どものころから生物は、好きでしたね。今はもう違うのですが、父が牧場を経営し繁殖などを行っていたこともあり、大学は動物の繁殖や発生を専門的に勉強することができる、生物系の学部を受験しました。

●親の後を継ぐことは考えなかったのでしょうか?
少し考えましたが、やはりあの業界厳しく、やればやるほど赤字になったりすることが引っかかりました。また、動物が怖いということもありましたね。

●大学はどのような勉強をしていたのですか?
大学で専門的に学んだのは動物細胞学です。大学は日大だったのですが、体外受精にとても詳しい先生がいらしたので、そこで胚培養士という仕事を知り、目指すことにしました。昔から、医療系の仕事に就きたいという思いも子どものころからありましたので。

研究室を決めた時点で、胚培養士になりたいということは伝えていたので、そのための研究をさせていただきました。

●大学を卒業して、胚培養士になってすぐにこちらのクリニックに来たのですか?
最初は、今とは違うクリニックで勤務していました。そこは人数が少なかったこともあり、急ぎで教えてもらうことができたので、3年半一通り勉強してからCMポートクリニックへ来ました。

●胚培養士の仕事のやりがいはどんなところですか?
やはり、自分が関わった患者さんが妊娠したときは、何年、胚培養士をやっていても嬉しいです。

不妊症の患者さんは、ストレスを抱えて苦しんでいることも多いので、私たちの技術が少しでもその方の手助けになれたのかなと思うと嬉しいですし、これからもたくさん不妊患者さんの助けになりたいと思います。

培養室のメンバーの皆さまです。

●患者さんに直接説明したりすることもありますか?
採卵後、卵について面と向かって説明する機会を設けています。
妊娠してからは直接お話しすることはないのですが、出産報告の写真を見ることもありますね。また、二人目を希望されて再来院してくれた患者さんが、一人目のお子さんを連れてきたときはやはり、嬉しいですね。

●胚培養士として努力していることはありますか?
技術に偏りが出ないように、どの胚培養士も満遍なく作業を行うようにしています。また、最新の技術に遅れないよう、交代で学会やセミナーに参加して、みんなで情報を共有して学んでいます。

そして、先輩後輩関係なく、良い意見であれば取り入れてマンネリ化しないようにしています。なので、風通しはいいと思います。

●今、胚培養士として一番興味を持っていることは何でしょうか?
精子の数が少ない人の、精子の凍結方法です。
射出精子の数が全量で数匹しかいない場合の凍結は、それを融解したときの回収がすごく難しいのが現状です。そのため、例えば一匹しかいない場合でも、融解したときに精子を確実に回収できないかということを検討しているところです。

●医師やナースとの連携で気を配っていることはありますか?
連絡事項は口頭だけではなくて必ず、カルテ、連絡メモなどを用いることを徹底しています。そのどれかに違いがある場合には、作業は進めず、ミスがないように確認してから進むようにしています。

司令塔である院長は体外受精の黎明期から関わっているドクターなので、なんでも自分ですべて出来るし、培養のことも我々以上に良くご存知です。(培養士のいない時代から体外受精をされている)

培養室の事をきちん理解してもらえること、そしてディスカッションをしてもらえることはとてもありがたいと思います。

クリニック待合室の様子

●患者さんへの情報共有や発信をどのようにされていますか?
基本的には、患者さんへの体外受精の基礎的な説明は、ナース外来で看護師が行っています。胚培養士は採卵後、患者さんに直接、採れた卵子の数や精子のデータを説明して、データと患者さんの希望を確認した上で最終的な方法を提案し、患者さんが納得いくまで説明しています。

また、受精後は電話にて、胚の発育状況を随時お話ししていますし、胚移植のときには直接、患者さんに胚のグレードなどを説明した上で、写真をお渡しています。

●今後のビジョンについて教えてください。
晩婚化が進んで患者さんの年齢も上がっているので、より少ない治療回数で結果を出さなければいけません。そのため、培養液や器具の選択など、患者さん一人一人に合った方法を今よりも細かく追求して、成績を出せるように頑張っていきたいです。

着床前診断についても、セミナーなどには参加しているので、今度取り入れられたらいいと思っています。

●CMポートクリニックのおすすめポイントを教えてください。
CMポートクリニックでは、患者さんの経済的、肉体的負担を軽減するフレンドリーアートを目指しています。

当院の特徴は、レスキューICSIに力を入れていることです。レスキューICSIとは、通常の体外受精をしている中で、受精が確認できなければ顕微受精を行い、ロスを少なくする方法です。

レスキューICSIという選択肢があるからこそ、自然に近いIVFにチャレンジする方を増やすことができますし、胚にとってはストレスがICSIよりも軽減できます。また、患者さんにとっては経済的負担も軽減させることができます。

このように、レスキューICSIは、確実に予想できない受精障害を救うことができる有効な手段です。当院では、レスキューICSIは成功報酬であり、移植できたら費用がかかりますが、できなければ費用はかかりません。特に、体外受精が初めての方は、受精障害があるかどうかわかりません。そういった方には有効ですし、ICSIに抵抗がある方にもおすすめです。

このように、当院では患者さんの望みを理解しながら、その上で一番良い方法をできるようチャレンジしています。

それから、もう一つはアットホーム感覚というか、個人クリニックだからこその温かさや配慮の点だと思います。スタッフ同士のコミュニケーション、患者さんとのコミュニケーションがいい距離感で取れていることが治療に良い効果を与えていると感じています。

●その他、話しておきたいことがあればどうぞ。
胚培養士の仕事は、裏方の仕事で表に出ることは少ないですが、とてもやりがいのある仕事です。これからも不妊に悩む人々にひとりでも赤ちゃんが授かれるように努力していきたいと思っています。

また、当院では胚培養士の方の募集も行っております!!一緒にお仕事をやりがい持って出来る方のご応募をお待ちしております。

まとめ
学生の早い段階から胚培養士を志し、それに向かって努力された松田さんのお話は、これから胚培養士を目指される学生の方にとっても非常に有益なものだったのではないでしょうか。

着実にキャリアを積んでおられるだけでなく、培養室内の風通しの良さや他職種との連携にも気を配っていらっしゃる姿勢は、胚培養士ならずとも見習いたいところです。

松田さん、貴重なお時間を頂き、ありがとうございました。
この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

<参考>
CMポートクリニック
http://cm-port.net

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