03.10
三菱製紙インタビュー:ガラス化凍結保存用デバイス「 Diamour (ディアムール)」とは?
このたびはガラス化凍結保存用デバイス「 Diamour (ディアムール)」を開発・製造・販売されている三菱製紙の担当者、小西雄一朗氏にお話を伺うことが出来ました。
「なぜ製紙会社が不妊治療に係る製品を開発しているのか?」という部分にとても興味があり、今回、インタビューさせて頂くことになりました。
ぜひ、ご覧くださいね。
紙を作っている会社が、なぜ不妊治療に関わるようになったのでしょうか。
昨今、ペーパーレスの流れが加速している中で、新しい事業領域について検討しておりました。
我々の技術は色々ありますが、その中でもヘルスケア分野に着目し、様々な人たちのお困りごとの解消に役立てるのではないかと、ニーズ探索をしている中で、商工会議所でのマッチング事業に参加しました。そこで、北里大学獣医学部の先生と出会ったのが開発スタートのきっかけになります。
先生が素晴らしいアイディアをお持ちでしたので、それを我々の技術で製品化し、胚培養士の方々のお力になれるのではないかということで開発を進めてきました。
商品化する際の苦労話があれば、教えていただけますでしょうか。
本製品の特長は、先端部に吸収体があってガラス化液量調整を自動的にできることですが、吸収体の選定には大きな苦労がありました。多くの素材をテストして、今の素材にたどり着くことができましたが、市場に出すまで、トータルでみると数年かかりました。
先端部だけではなく形状についても、胚培養士の方々に数多くのテストを実施していただいき、ご意見を伺いながら改良してきました。
今回の商品の特長について教えてください。
三菱製紙が作ったということで、安心安全をキーワードとしてあげています。
また、これまでのデバイスとの最大の違いが、先端部、つまり吸収体によって液量を自動的に調整することができます。それによって最適な液量に調整し、胚を凍結保存することができます。
胚培養士の方から、最も評価をいただいている部分についてお聞かせください。
繰り返しになりますが、このデバイスのメリットとしてあげられるのが、液量調整の部分です。
液量調整には、高い技量を求められるのですが、自動的に調整してくれるので差が生じにくく、その結果、成績の安定化に寄与することができます。
多岐にわたる胚培養士の方の作業の負担軽減だけでなく、習熟期間の短縮にもお役に立てるデバイスとして新しい選択肢を提示できると考えております。
費用面はいかがでしょうか。
新しい機能を持つデバイスとなりますが、価格面については、以前から皆さんがお使いいただいているデバイスと同じレベルでの提供とさせていただいています。
国内生産で全品検査をしながら作っているので、価格や供給の面では安心してお使いいただけると自負しています。
実際に使われている胚培養士の方の使用感はいかがでしょうか。
今までお使いのデバイスと比較して、本デバイスは液量調整をしてくれることもあり、使用感が異なるという印象を持たれる方もいらっしゃいます。
その点はしっかりとご説明しながら使っていただくことで、多くの方々から使いやすいという声をいただいています。
どのくらいの施設で活用されていますか。
具体的にお伝えすることは難しいのですが、複数の施設で使っていただいております。出産まで結びついたという臨床報告も、昨年の卵子学会でなされております。
また、臨床試験までは進んでいないテスト段階の施設様も多くあるという状況です。
今後の展開についてお聞かせください。
現在は開放型のデバイスということで販売しておりますが、今月から新しく閉鎖型デバイスの販売を考えております。
最近の学会では、凍結保存時の液体窒素を入れるタンク内に細菌が確認されたとの報告がなされております。これへの対応として閉鎖型デバイスの利用は非常に有効とされており、我々としては、閉鎖型への関心がさらに高まっていくのではないかと考えております。
アメリカでは標準的に使用されていることもありますので、国内ではまだ開放型デバイスが主流というところではありますが、今後の閉鎖型のデバイスの潜在ニーズは高いと思っております。
感染リスクの軽減は各施設様で考えられていると思いますので、そういう点でも貢献できればと思っております。
新しい閉鎖型デバイスについて教えてください。
特長としては、先端部の吸収体の特長はそのままに、キャッピングするだけで感染リスクを抑制できる工夫をしています。そのため、閉鎖型としては使いやすいデバイスとなっています。
さらに、凍結時の作業性を上げるためキャッピングを補助する載置具を開発いたしました。さらに、融解時の作業を行いやすくするための固定具も用意しております。これら補助ツールも現場の方の声を伺いながら改良しています。
医療現場に届くのはいつ頃になりますか?
実際に届くのは、4月以降になるのかと思います。
ただ、サンプルの用意はあるので、お問い合わせいただければ随時お渡しすることはできます。
まとめ
不妊専門施設の培養室において、どのように作業を効率化しながら、成績を上げていくのかは常に考えていく命題だと思います。また、多忙な現場をいかに働きやすくするのかもこういう小さな改善の積み重ねでしか解決できないのかもしれません。
そういう意味において、このような新製品や新サービスが出てくることは望ましいことなのかなと感じております。
小西さん、お忙しい中、取材に応じて頂き、ありがとうございました。
この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
★関連サイト
【「Diamour」のご紹介 】
https://www.mpm.co.jp/health-care-and-amenity/medical-care/diamour/index.html
【閉鎖型デバイスの紹介】
https://www.mpm.co.jp/functional-materials/index.html
【ブログ】
http://www.mpm-di.com/blog/?p=4418
製品のお問い合わせ先
三菱製紙(株)
機能商品事業部 新規事業推進室
〒130-0026
東京都墨田区両国2-10-14 両国シティコア
TEL:03-5600-1476 FAX:03-5600-1414
E-mail: support.medi@mpm.co.jp
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