2018
06.04

一人前の培養士になるまで(1)~質問のタイミングとやってはいけないミスについて~

胚培養士について

皆さま、初めまして。
培養士歴21年のラパラです。このたび、胚培養士ドットコムの池上編集長より依頼を受けて、新人の培養士にどのような教育をしていくのかを記事にしてほしいと要請がありました。

今までそのようなコンテンツは世に出ていないそうなので、今後の後進の方々のためにも作っておくべき内容かなと思い、書かせて頂きました。

私の主観的な意見や考えですので、皆さまからのご感想、ご意見、応援メッセージを心からお待ち申し上げております。

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これから培養士として働くにあたり、「質問するタイミングを考える」と「培養士として絶対にやってはいけないミス」について理解しておくことが重要です。

●質問するタイミングを考える

社会経験がない新人培養士が一番戸惑うのは、クリニックというところを理解していないことが多いからかも知れません。培養士の多くは、大学の農学部・生物工学系学部等でバイオサイエンスを学んでいたわけですから、クリニックというところがどんなところか全く知りません。一方、臨床検査技師出身の方は、多少、病院実習などで経験があるとは思いますが、やはり、実習で見るのと現場に入ってみるのとではまったく違うでしょう。

まず、クリニックというところは、ミスが許されない場所だということを知っておいてください。どんな仕事もミスは許されないものですが、医療現場のその空気というのは、他の仕事の比ではないかもしれません。

ですから、基本的に、医師、看護師、事務職、培養士といった、上司、先輩にあたる方々は、患者さんに対しては優しいですが、新人培養士にはとても厳しいと思います。新人培養士にとっては、最初のうち、クリニックは怖いところ以外の何物でもないかも知れませんね(笑)。

ではなぜ、そんなにも厳しい(怖い)のでしょうか?当然のことですが、医療現場では、患者さんが第一です。特に、不妊治療専門のクリニックは、患者さんも多いですし、医師、看護師、事務職、皆、慌ただしく勤務しているのです。不勉強で、なおかつ、自分が教えてもらうことしか考えることが出来ない新人培養士などにかまっている暇はないのです。

また、新人培養士に、知識、技術、作法などを教えるにしても、自分が教えて、その新人培養士がミスをすると自分にその責任が降りかかってきますので、新人培養士がミスをしないように、とても厳しく教えることが多くなってしまいます。

そのうえ、培養士という職業は、なんといっても職人気質です。一から十まで教科書を使いながら丁寧に教わるというよりか、先輩培養士の技術を目で見て覚えることも多く、実践中に覚えていく技術も多いのです。また、ひたすら、「まず見て覚えろ」という昔気質な培養士も多くいるのかも知れませんね。

このような環境ですから、新人培養士は、業務内容のことで質問するにも、躊躇してしまいますし、最初は、質問するタイミングすらわからず、質問するのが怖くなると思います。また、遠慮して質問せずにいると、先輩培養士から「やる気があるのか?」、「勉強してないから質問がないのでは?」とか言われてしまいます(苦笑)。こうして、だんだん仕事が嫌になってきて、続けていく自信が無くなってくるわけですね(苦笑)。

ですが、このような環境でも、くじけずに自分が質問してよい局面がどの順位になるかを考えに考え抜いてください。状況を正確に理解してタイミングよく質問できるようになると、先輩も快く教えてくれることが多くなりますし、自ずと先輩とのコミュニケーション能力も上がっているはずです。まずは、諸先輩方に上手に質問できるようになるのが培養士としての最初の一歩になるということを充分に理解しておいてください。

●培養士が絶対にやってはいけないミス

先述しましたように、医療現場ではミスが許されないのですが、ミスというものがまったくのゼロにはならないです。その都度、ミスの内容を具体的にまとめて、報告し、スタッフで共有することで次に起こさないように考えていくことが重要です。

ですが、培養士として勤務するにあたって絶対にゼロにしなくてはならないミスがあります。それは、検体の取り違えです。こればかりは何がなんでもゼロにしなくてはいけません。仮にAさんの精子とBさんの精子を取り違えてしまったことに気付かず、Bさんの奥様が出産してしまうと、もう取り返しがつかないですし、考えただけでも恐ろしいですよね。

この検体の取り違えを防ぐために、ほとんどのクリニックでは培養士どうしが患者様のID番号、名前をチェックしあう、ダブルチェック体制をとっています。

検体の取り違えをおこしてしまうと、患者さんが不幸になることはもちろん、そのミスを起こした培養士、ひいては、その医療施設全員が不幸になってしまいます。ですから、絶対にやってはいけないミスは取り違えだということを心に刻んでおきましょう。このミスだけは、絶対にゼロにしなくてはいけませんね。

 

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