2018
09.30

一人前の培養士になるまで(3)〜精液検査のキホン〜

胚培養士について

培養士として最初に覚えていく仕事というのは、多くのクリニックでは、精液検査であることが多いかも知れませんね。

まず、精液検査については、最初に正常値をしっかり覚えておきましょう。
精液検査の正常値(WHOマニュアル2010

精液量 1.5ml以上
精子濃度 1500万/ml以上
精子運動率 40%以上
総精子数 3900万以上
正常形態率 4%以上

この正常値については、あまり切りのいい数字ではないので覚えにくいのですが、丸暗記してください。この正常値を理解していないと仕事にならないですからね。

次に、異常値を示す精液所見について

異常値を示す表現法

乏精子症(oligozoospermia)精子濃度が1500万/ml未満
無精液症(aspermia) 精液なし(逆行性射精を含む)
無力精子症(asthenozoospermia) 運動精子率が40%未満
奇形精子症(teratozoospermia)正常形態率が4%未満
無精子症(azoospermia) 射精精液中に精子を認めない
血精液症(hemospermia) 射精液中に赤血球を認める
死滅精子症(necrozoospermia) 射精液中の精子が死滅している

こちらも丸暗記するのは大変ですが、是非、英語名についても覚えておいてください。英語名を覚えておくと、このあと勉強していくにあたって楽になりますし、カルテの略語などは、英語がほとんどですからね。英語も辞書でしらべてしっかり理解したうえで覚えると非常に役にたちます。

精液検査

最初に言っておきます。精液検査というものは、比較的誤差が大きいですし、患者様ご本人の体調にも左右されるばらつきの大きい検査であることも理解しておきましょう。

さて、精液検査についてはいくつか方法があるのですが、多くのクリニックではマクラーチャンバーと呼ばれる計算盤で精液検査を簡便に実施することが多いと思われます。

マクラーチャンバーには、精子濃度・運動率を計算するために、100個の“マス”が記されており、その100個のマス内に顕微鏡下で運動精子と不動精子が何個いるかを数えて、1mlあたり何個の精子が存在するか(精子濃度)、運動率はどれくらいかを計算します。

簡便な方法なのですが、精子濃度が非常に高くなりすぎた場合、運動精子をすべて肉眼で追いきれないため正確性にかけるという点もあります。

マクラーチャンバーを用いた精液検査をある程度安定して行えるようになるには、数ケ月くらいはかかるかも知れませんね。地味な検査ですが、基本的で重要な検査なのでしっかりと練習しましょう。

一方で、機器を用いて精子濃度や運動率を測定する方法もあります。機器で測定したほうが誤差もなく、正確なようにも思えるのですが、現在、使われている機器が、必ずしもマクラーチャンバーよりも正確に測定できるかといえばそうと言える状況でもなく、まだまだ技術的には発展の余地があるようにも思えます。

特に、臨床上では、非常に数は少ないものの精子が存在する場合と、まったく存在しない場合では治療方針が大きく変わってしまうのですが、現在の精子濃度測定器では、それらの厳密な判断ができないため、まだまだヒトの目が必要となっています。ですから、これらの機器はまだまだ発展途上にあるといったほうが良いでしょう。

精液検査は、タイミング法、AIH(人工授精)、IVF(体外受精)、ICSI(顕微授精)のどの治療法を選択するかといった場面でも非常に重要な意味を持ちます。不妊治療を行う上で基本中の基本の検査ですから、正常値を含めて、検査の意義までしっかりと頭に叩き込んでおきましょう。

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