2019
02.01

一人前の培養士になるまで(5)〜検卵と成熟度の判定について〜

胚培養士の基礎知識

今回からは、卵子の取り扱いについてお話しましょう。まずは、検卵からお話します。検卵については、胚培養士に関する教科書等にもあまり載っていませんし、おそらく施設ごとにかなり実施の方法が違うと思いますが、筆者の経験も踏まえてお話します。

検卵

図1は実体顕微鏡下で検卵している様子です。左手にプラスチックシャーレ-を持ち、そのシャーレ-上に「卵丘細胞―卵子複合体」の入った卵胞液をいれ、プラスチックシャーレ-内をくまなく探し、右手のピペットで卵丘細胞-卵子複合体を回収します。

図2は、プラスチックディッシュの中に卵丘細胞-卵子複合体が4個入っています。黒い点のように見えるのが、卵子の部分でそのまわりに卵丘細胞がついています。

図3は、拡大写真です。中央に卵子があり、その周りを卵丘細胞が覆っています。これは、プラスチックシャーレ-をやや傾けて卵胞液の薄い場所を作り、卵丘細胞-卵子複合体にピタッと顕微鏡のピントを合わせると、図3のように卵子の様子が確認できます。このときにある程度、卵子の成熟度が判別できます。

成熟度の判定

卵子は卵巣内で発育し、最終的に内因性のLHの上昇またはhCGの注射によって、第1極体(図4)を放出して成熟します。精子と受精可能な状態まで育つことを「成熟」といい、そのような卵子を成熟卵子と呼びます。

検卵中に卵丘細胞-卵子複合体が回収できたら、その卵子が成熟しているかどうかを実体顕微鏡下でチェックします。

理論的には、第1極体が放出されていれば卵子が成熟していると判定できるのですが、実際の卵子の周囲にはたくさんの卵丘細胞がついているために、多くの場合、第1極体をはっきりと確認できません。

そこで、目安として卵丘細胞のつき方、つまり卵丘細胞がひろがっていたら卵子は成熟している可能性が高く(図4)、卵丘細胞が固くまとわりつくようについていたら卵子は未成熟の可能性が高いと判断します(図5)。

未成熟卵子は、多くの場合、卵核胞という核が確認できます。未成熟卵子は体外で成熟させて受精させることもできますが、体内で成熟した卵子に比べて受精率や妊娠率は劣ります。

実際に卵子の成熟度まで正確に判定するのは熟練を要しますし、施設によっては、成熟度を判定する必要がない場合もあると思います。これは、あくまで筆者のいる施設での検卵法の一例ですが、参考になれば幸いです。

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