2020
04.15

ERA検査について

不妊治療の基礎知識, 胚培養士の基礎知識

良好胚を移植しているにも関わらず、着床不全を繰り返すことがあります。そのような症例に対して、これまでは子宮内膜を採取し、顕微鏡にて観察、その形態から子宮内膜の状態や排卵後の日数を調べていました。しかしこの方法では、診断する人によってばらつきが多く、精度の低い方法として疑問視される声も上がっていました。

そのような中、多くの不妊治療施設にて取り入れられるようになったのが、ERA検査です。

近年における様々な研究を通して、子宮内膜には受精卵を受け入れる時期が決まっているということがわかってきました。着床の窓が開くとも表現されますが、このタイミングがずれてしまうがために、良好胚を移植しても着床には至らない、また着床したとしてもごく初期の段階で流産してしまう可能性が高くなってしまうのです。

着床するためには他の因子の影響もありますが、ERA検査によって着床の窓を知り、胚移植のタイミングを図ることはとても有効な手段だと考えられています。

また、胚移植に向けた子宮内環境を整えるために投与されるホルモン剤の投与に関しても、個々人の状態に合わせてオーダーメイドで調整できるというメリットもあります。

ERA検査の対象となるのは、先ほどご紹介した良好な胚を移植したにも関わらず、着床不全を繰り返す症例や、移植できる胚が非常に少ない場合など、移植のタイミングを図りたいというケースになります。

検査方法は簡単で、融解胚移植を行うときに使われるホルモン剤を投与して子宮内膜を肥厚させ、ホルモン剤を投与して状態が整った5日目に子宮内膜の組織を採取するという流れになります。採取自体は数分で終わりますが、若干の痛みを感じることもあります。

そして、2〜3週間後には、精度の高い個々人の着床の窓を知ることができます。

検査を行った周期は胚移植をすることはできませんが、次周期以降に胚移植のタイミングを調整することで妊娠率が25%ほど上昇したという報告もあり、非常に注目を浴びているのがERA検査です。

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