2016
10.13

古賀文敏ウイメンズクリニック 北上培養室長インタビュー(福岡市)

胚培養士インタビュー

今回のインタビューは、福岡市の天神で不妊治療に取り組んでいらっしゃる古賀文敏ウイメンズクリニックの北上培養室長にお話を伺いました。古賀院長には以前、オールアバウトでインタビューをさせていただきましたが、今回は北上培養士長に培養士という立場から興味深いお話をたくさん聞かせていただきました。

古賀先生のインタビューと併せてお読みください↓
不妊治療と胎児診断…古賀文敏ウイメンズクリニック
http://allabout.co.jp/gm/gc/463955/

それでは、取材の内容をどうぞ!

●培養士になったきっかけを教えてください。
大学ではバイオサイエンスという括りで基礎研究をしていたのですが、もっと人の役に立てるようなことをしたいと思っていました。遺伝子改変マウスの実験を行うにあたり色々と調べていく中で、胚培養士という職業に興味を持ち、自分も始めてみたいと古賀先生を訪ねたことがきっかけですね。

エントランスです。

エントランスです。

●技術をものにするまで、どのような勉強をされたのですか?
15年以上の経験を持つ先輩の培養士の方にコツなどを教えていただいて、業務が終わった後にひたすら自分で練習していましたね。顕微授精なども、ずっと一人で残ってやっていました。

●仕事の意義など、どうお感じになられていますか?
この仕事を始めて4年経ちましたが、最初は仕事を覚えるのに必死でした。
最近は余裕が出てきたので、患者さん一人一人のことを考えられるようになってきましたね。どういうふうにするのが一番ベストなのかということを探っていくというか、じっくり考える時間や知識を持つことができました。

学会へ出るなど外に目を向けると、同じ勤務年数の方と比べて自分はたくさんのことができるようになっていると感じています。

●やはり、妊娠すると嬉しいものですか?
当院では、他の施設で何回も不妊治療をされてダメだった方が、うちへ来られて妊娠されるということが多々あります。それは、やはり嬉しいですし、やっていて良かったと思うところです。

待合室になります。

待合室になります。

●古賀先生からの要望は高度なものが多いかと思いますが、そのあたりはどうでしょうか

そうですね。培養士は職人だと思っているので、ドクターが要望することに必死で応えていく姿勢を持ち努力していかないと、この先続かないような気がしています。

●自分の中で特に、力を入れていこうというところはありますか?
一番興味を持っていて、今後重要ではないかと思っているのが精子の研究です。
これまで、卵子の研究はやり尽くされたというか、ものすごく研究されています。
それに比べると、精子の研究はそこまで力を入れられてこなかった印象があります。そこに妊娠率をあげる何かがあるのではないかと感じています。例えば、顕微授精であれば良い精子の選び方などですね。

●精子の研究というと、泌尿器科が中心になることが多いですよね。
そうですね。泌尿器科の先生が主にされていますね。
顕微授精であっても、培養士の主観で良いと思った精子を入れるということは乱暴かな、と思うところもあります。なので、これまでやってこられなかったことをするのがいいのではないかと思っています。

●不妊治療の場合は、ドクターやナース、受付事務もいるチーム医療になりますよね。その中で、ラボスタッフとして、気を配っているところはありますか?
培養室の中のことというのは、他の職種ではわからない部分がありますよね。そのため、培養室の中でこういうことが起きているので、こうしてくださいと上手く伝えるようにはしています。特にナースは直接、患者さんと話しますので、その気持ちを培養士に伝えてくれます。それは、培養室の中ではわからないことなので有難いですね。

こちらで診察を行います。

こちらで診察を行います。

●患者さんへの説明は、ラボスタッフの方もやったりするのですか?
採卵後2日目まで培養したときに、ラボのスタッフから患者さんに直接、電話をして移植や凍結をするかどうか、または胚盤胞まで培養を続けるのかといった今後の方針を伝えています。そのときに、患者さんの要望も伺っていますね。

患者さんが一番気にされていることは、卵が胚盤胞まで育つのかどうかということです。やはり、ネットなどではどうしても胚盤胞の妊娠率が高いということが書かれていているんですよね。それは結局、胚盤胞まで育った卵が良い卵だったということだけで、妊娠率的には2日目の卵を移植しても変わらないと言われています。

そういうところは、患者さんに丁寧に説明して納得してもらっていますね。

●後輩の方などに対しての教育は、どのようにされているのですか?
技術面については、こちらから教えて個々に練習してもらうということをメインにしています。知識の部分については、胚培養に関する本を読んでもらうといった自主的な勉強が主になります。また、論文の輪読会を行って、最新の知見をラボ内で共有しています。

●今後のビジョンや研究していきたいことなどがあれば、教えて下さい。
今年に入り後輩が入ってきたので、育ってきたら一緒に研究をしていきたいと思っています。そうして、新しい情報を提供できるようになりたいですね。

●最後に、伝えておきたいことはありますか?
培養士にとって、患者さんが妊娠することは一番嬉しいことです。
それとは別になりますが、卵がすごく綺麗だと個人的には感じています。言葉は変ですが、神々しい感じがしますね。
特に、採卵直後の卵子は顆粒膜細胞に包まれていて綺麗なので、最初に見たときはすごく感動しました。
培養士は卵を見ることができる特別な職業だということは感じています。

精子についても同じです。スイムアップをしていると、こんな長い距離を泳いでくるのだと驚かされますね。

仕事を始めた当初は、こんなに小さなものが子供になるなんて信じられない気持ちも少しありましたが、そういったことに関われること自体、すごくやりがいがあります。

<まとめ>
穏やかな話し方ながらも、しっかりとした信念を持って生命の始まりに取り組んでいらっしゃる北上さん、という印象を受けました。そして、培養士は常に患者さんのことを考えながら、努力し続けていく必要があるのだとも強く感じました。

卵がとても綺麗だというお話も、培養士の方ならではの視点を教えていただき非常に興味深いインタビューとなりました。

今回もお忙しい中、お時間を頂戴し、有意義なお話をして頂きましたことをこの場をお借りして、心より感謝申し上げます。

<関連サイト>
古賀文敏ウイメンズクリニック
https://koga-f.jp

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