2016
06.01

顕微授精に使う倒立顕微鏡とは?

胚培養士の仕事

不妊治療において高度な技術が要求される顕微授精(ICSI)は、その名の通り顕微鏡を用いて行われています。ICSIについての詳細は以前ご紹介した、こちらをご覧ください。

胚培養士の仕事シリーズ〜顕微授精において胚培養士は何を行うのか?ICSIの実際

一口に顕微鏡といっても用途に応じ、実に様々な種類が販売されていますが、ICSIを行う際に活躍しているのは倒立顕微鏡と呼ばれているものです。
医学や生物の分野で重宝されている倒立顕微鏡とは、一体どのようなものなのでしょうか?
今回は、胚培養士にとって欠かせない仕事道具のひとつ、倒立顕微鏡についてご紹介していきます。

●顕微鏡にはどんな種類があるの?
みなさんは顕微鏡といえば、どういったものを思い浮かべるでしょうか?
先ほど顕微鏡には多くの種類があることをお話ししましたが、それぞれの用途に応じていくつかに分類することができます。
例えば、培養した細胞や細菌などを観察する生物顕微鏡や光を通さない金属、半導体を観察する金属顕微鏡、そして立体的な観察が可能な実体顕微鏡に分けることができます。

さらに、顕微鏡は対物レンズの位置によっても分けられます。
対物レンズが試料よりも上にあり、上部から観察することができるものを正立顕微鏡、対して、培養しているシャーレなどを下側に位置する対物レンズから観察するものを倒立顕微鏡と呼んでいます。

このうち、生物顕微鏡でなおかつ倒立型のものがICSIに使われています。

ICSI

●倒立顕微鏡の特徴は?
試料を観察するための対物レンズが上向きについているため、シャーレに入った試料を下から観察することができます。そのため、ICSIやその後の胚の発育状態を確認するのに適しています。
また、シャーレ上の培養細胞を上から観察することで、万が一レンズが浸ってしまうなどの人為的ミスを防ぐこともできます。

近年では、倒立顕微鏡を用いて行われるICSIや胚をモニターに映すことも増えてきており、これまでよりもさらに高倍率での観察が可能となってきました。
ICSI実施時では細かい作業が要求されますので、この倒立顕微鏡にマイクロマニピュレーターを取り付けるなど、正確で素早く行えるよう工夫が凝らされているのです。

何事においてもそうですが、顕微鏡を含め最新鋭の機器は確かに、これまでなかった技術が詰め込まれているので重宝します。しかし、新しいものが必ずしも最善かといえばそうではありません。
操作法や顕微鏡の癖などを把握して使いこなすまでには、時間も労力もかかります。そのため、胚培養士が仕事道具を選ぶ際には、これまで慣れ親しんだものを比較対象としながら、より高い、そして安定したクオリティを保つことができるものを選択して作業を行っています。

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